ある著名なお坊さんが、お子さんを亡くしていつまでもショックが癒えないというお母さんにこう言いました。
それはとても悲しいことです。
しかし、いつまでも悲しんでいると天国のお子さんも悲しくなりますから、出来る限り笑顔でいてください。
忘れてあげることも愛情、そして時の流れは、
苦しみや悲しみを癒しますから、今のお気持ちも時が解消してくれるでしょう。
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いやぁ~
このお坊さんを誹謗する気持ちはまったくありませんが、
この方は、お子さん亡くした経験が無い方であるとすぐにわかりました。
わたしも息子が先立ちましたが、
その悲しみや嘆きは、時が解決するなどと安易な言葉は通用しません。
子供と言うのは、自らの命を呈してまでも守りたい存在です。
それが先立つというのは、身を引き裂かれるなどという生易しいものではなく
とてつもなく悲しく辛いものです。
これはどのように表現しようとも経験した人でなければ
絶対に理解できないでしょう。
もちろんこんなことは、経験してほしくありません。
我が息子が旅立ってからずいぶん時が流れましたが
気持ちは、あの日のそのままです。
抱きて涙するあの日そのものの毎日です。
ショックで身動きできないあの瞬間そのままです。
火葬場では、炉に移動し始めた時、おもわずそれを止めようとした
あの日の思いそのままです。
子を亡くした親は、何年たってもあの日のまま
何もかわりません。
いくら慰めを聞いても、どんなに時が過ぎても
あの日のまま。
人の前では笑顔を見せていても、
周囲の目が無い時には、倒れこみそうなほどのショックが続く毎日です。
それが子を亡くした親の気持ちです。
私の友人は、63歳の男性で内科の開業医です。
息子が旅立ったあの日に大切な病院を閉めて飛んできてくれ、
私に抱き着いて大声で泣いてくれました。
どんな慰めの言葉よりも、彼の行為が心に強く響きました。
共に心底悲しみつつも癒された自分を感じました。
相手の心を知るとは・・・
相手と共にあるというのは、人の立場そのものになることです。